居住用マンションの新しい評価方法とは
マンション評価通達の公表について
国税庁は令和5年10月6日、居住用マンションの評価方法について新たに定めた「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」を公表しました。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hyoka/231004/index.htm
この通達は令和6年1月1日以後の相続、贈与により取得した財産の評価から適用されます。
改正の対象となるのは区分所有登記された居住用のマンションで、2階以下のマンションや区分所有登記されたいわゆる二世帯住宅は除きます。
新たな評価方法では、評価対象マンションの下記の要素から評価乖離率を算出し、現行の財産評価基本通達による相続税評価額に評価乖離率を乗じて計算することとなります。
<評価乖離率の計算要素>
・マンションの築年数
・マンションの総階数
・区分所有権等に係る専有部分の所在階
・マンション全体の敷地面積
・マンション一室の敷地権割合
・マンション一室の区分所有権等に係る専有部分の面積
具体的には、下記の評価水準(1÷評価乖離率の値)の区分に応じて計算します。
(1)評価水準>1 現行の相続税評価額(土地・家屋)×評価乖離率
(2)0.6≦評価水準≦1 現行の相続税評価額(土地・家屋)
(3)0<評価水準<0.6 現行の相続税評価額(土地・家屋)×評価乖離率×0.6
評価額が現行より引上げとなるのは(3)に区分された場合で、時価の6割程度まで評価額が上がることになります。現行の居住用区分所有マンションの多くが(3)に区分され、多くの納税者の納税額へ影響を及ぼすと考えられます。
令和5年中の駆け込み贈与を実行する方もいらっしゃるかもしれませんが、小規模宅地等の特例や移転コスト等、総合的に慎重にご検討されることをお勧めします。