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インボイス制度 取引相手を特定できたら適格簡易請求書は発行できないのですか?

令和5年10月からインボイス制度が始まります。
適格請求書発行事業者には取引の相手方(課税事業者)の求めに応じて、適格請求書または適格簡易請求書を交付する義務が生じます。

適格簡易請求書とは

「適格簡易請求書」とは適格請求書の記載事項が簡易になったもので、不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等に係る取引については、取引の相手方の氏名又は名称の記載のない「適格簡易請求書」を交付することができます。

取引相手を特定できる場合は?

では、取引の相手方の氏名や名称を特定できる場合には全て、適格簡易請求書の交付は認められず、適格請求書を交付しなければならないのでしょうか?

答えは、Noです。

国税庁・インボイスQ&A問25に適格簡易請求書の交付ができる事業者が記載されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_invoice_mokuji.htm

① 小売業
② 飲食店業
③ 写真業
④ 旅行業
⑤ タクシー業
⑥ 駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)
⑦ その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業

①から⑤までの事業は「不特定かつ多数の者に対するもの」という限定がなく、無条件で適格簡易請求書の交付ができます。
また、⑦の「不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業」であるかどうかは、それぞれの事業の性質により個別に判断し、例えば以下のような事業が該当します。

・資産の譲渡等を行う際に相手方の氏名等を確認せず、取引条件等をあらかじめ提示して
相手方を問わず広く資産の譲渡等を行うことが常態である事業
・事業の性質上、事業者がその取引において、氏名等を確認するものであったとしても、相手方を問わず広く一般を対象に資産の譲渡等を行っている事業(取引の相手方について資産の譲渡等を行うごとに特定することを必要とし、取引の相手方ごとに個別に行われる取引であることが常態である事業を除きます。)

つまり、例えばインターネット通販やWeb上のサービスで事前に会員登録をした会員だけが商品を購入したりサービスを受けられる場合であっても、その事業自体が不特定多数の者を対象に行う事業であればよく(小売業は不特定多数の者に対するものという要件は不要)、会員登録の有無は影響しません。

 

取引相手の氏名や名称が分かる場合にはすべて、適格請求書でなければならないと勘違いされている方も多いので、ご注意ください。