市街化調整区域でも地積規模の大きな宅地の評価は使えますか?
地積規模の大きな宅地の評価
財産評価基本通達20-2において、「地積規模の大きな宅地の評価」が規定されています。
この規定の趣旨は、地積が1,000㎡以上(三大都市圏では500㎡以上)であるような地積の大きな宅地を戸建住宅用地として分割分譲する際に発生する減価を評価に反映することです。
例えば、地積の大きな宅地を分割分譲するときには、道路・公園等を設ける必要性から住宅用地として有効利用できる面積が減少し、いわゆる「潰れ地」部分が生じること、上下水道等の工事費用、開設した道路の整備費用等、開発分譲業者の負担を要することなどが減価の要因となります。
市街化調整区域では適用できないが例外もある
「地積規模の大きな宅地の評価」の除外規定の中に下記のものがあります。
市街化調整区域(都市計画法第34条第10号または第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除きます。)に所在する宅地
つまり、基本は市街化調整区域では適用ができませんが、「都市計画法第34条第10号または第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域」は除外規定から除かれており、他の要件を満たせば地積規模の大きな宅地の評価を適用できます。
都市計画法第34条第10号または第11号の規定に基づき開発行為を行うことができる区域とは
愛知県豊田市の場合、都市計画法第34条第11号に規定する区域は令和7年現在、豊田市にはありません。
都市計画法第34条第10号については豊田市役所ホームページにて要件を確認することができます。
市街化調整区域内地区計画制度を活用したまちづくりについて
https://www.city.toyota.aichi.jp/jigyousha/toshikeikaku/1030027/1037545.html
「豊田市市街化調整区域内地区計画運用指針」によると、都市計画法第34条第10号による開発許可が下りるまでには、市役所での事前相談、条例に基づく手続、愛知県市街化調整区域内地区計画連絡調整会議での承認、地元説明会、都市計画法16条・17条縦覧、豊田市都市計画審議会、県知事協議、と様々な手続きが必要であることが分かります。
豊田市役所によると、ケースバイケースですが地区計画の開発許可が下りるまでには2~10年かかるようです。
では、その途中で相続が発生したらどうなるのでしょうか。
結論から申し上げると、相続開始時において「地区計画決定告示」まで地区計画が進んでいれば、「地積規模の大きな宅地の評価」の適用ができる可能性があります。これは地区計画手続の中でも、かなり最終段階です。地区計画が決定告示されれば、次は開発許可手続に移行します。
もちろんこれは一要件に過ぎず、地積規模の大きな宅地の評価を適用するには他の要件も満たす必要があります。該当する可能性のある方は一度ご相談ください。
また、都市計画法第34条第10号の具体的な内容については市役所へお問合せください。